深澤酒店につきまして
大切な王祿特約店である深澤酒店(長野県松本市)が、令和元年9月末日をもって
閉店しますことを、ここにご報告申し上げます。
これまで、深澤酒店をご愛顧いただき、ご購入いただきました皆様に、まずは心よりお礼申し上げます。
そして、今後ご迷惑、ご不自由をお掛けする事につきまして、この場をお借りして深くお詫び申し上げます。
店主 深澤美晴さんは、私共王祿酒造と王祿特約店にとりまして掛け替えのない友であり、家族です。
美晴さんとの出会いは、平成13年6月に遡ります。
縁あって私の造る酒を口にし、蔵を訪ねてくれたことが始まりでした。
丸襟の濃紺のワンピースに身を包んだ、上品な女性が蔵の前に立っていました。
話を進めるにつれて、彼女の持つ芯の強さ、真っ直ぐな情熱を感じ、私は心惹かれました。
バイクに跨がり、彼女の店に向かいました。
松本から上高地に向かう一本道。
素晴らしい景色の中に、静々と、まるで美晴さんをそのまま現したような佇まいの深澤酒店がありました。
出会ってから18年。
私の酒だけでなく、深澤美晴が扱う酒全てに彼女は愛情を乗せて、多くの皆様の身体に注ぎ続けてくれました。
その美晴さんが、今年の春、引退を決めました。
元々、彼女のご主人のご実家の家業であった深澤酒店。
嫁入りした彼女は、義父からその役目を受け継ぎました。
楚々とした外見とは裏腹に、余りある情熱と責任感、真っ直ぐな性格が、酒屋の店主として他に類を見ない店を造り上げました。それは、地元長野の皆様だけでなく、上高地に向かう他府県の、実に多くの皆様に愛され、現在に至っています。
我々造り手は、その恩恵をどれほど受けてきた事でしょう。
そんな彼女が、「これから残された人生を、夫と共に一人の女性として、妻として生きたい」と決めました。
僕は、そんな彼女の大きな人生の選択を、心から祝いたい。
いつも愛情をもって穏やかに美晴さんを見守ってきた、ご主人との大切な人生を。
今年の春。
毎年4月に行う王祿酒造関東特約店会で大切な仲間に報告しました。
彼女を失う寂しさは否めない。けれども、彼女の英断を祝い、集った全員で歌を歌い、エールを送りました。
私たちと、美晴さんは、これからも変わる事なく永遠に続きます。
美晴さん、本当にありがとう。どうかお幸せに!
「これからの、美晴ちゃんの人生に幸あれ!」
令和元年8月 王祿酒造 石原丈径
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